ミミズクシャシンカン

綾緋さんの遺影。

綺麗な百合でした。

空が綺麗でした。

涙雨すら降りませんでしたね。

私たちは「死」が幼いころから見えていた被虐待児なので人の死には慣れています。
死んでいった人格は無数です。
特別な役目を持っていたとはいえ彼の死は私たちには日常の中の障害でしかない。
私が死んでも、主人格である月花さんが死んでも同じこと。
自立システムの夜半さんの哀しみは日常に消える。
それが夜半さんの「システム」だから。
記銘システムの深空さんと深春さんは迷走しています。
綾緋さんの最期の言葉は「ごめんなさい」だったそうです。
何も残りませんでした。
私は死にたくないです。
生きたいと望むようになっても死んでしまった綾緋さんと弟に寄り添った鏡路さん。
私はせめて跡を継ぎたいのです。
騎月さんに保護されて眠る月花さんが目覚める前に終わらせておきたい。
さようなら、綾緋さん、鏡路さん。
そして、黒耀さん。

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